第23回胸部放射線研究会の当番世話人を仰せつかりました滋賀医大放射線部の橋から一言ご挨拶を述べさせていただきます。
 胸部放射線研究会は、河野通雄先生のご尽力により昭和62年に設立され、その後、医学放射線学会秋季臨床大会の期間中に開催されてきました。この間、一貫して、胸部画像と病理像との対比というメインテーマに沿って、多くの貴重な症例が報告され、本会は日本の胸部放射線医学のレベル向上に多大な役割を果たして来ました。一方、昨年の本研究会の世話人会において、この胸部放射線研究会の伝統を継承しつつ、新しい試みを加えていこうという意見が出て参りました。これに従い、今年は、思い切って以下のふたつの試みに挑戦し、プログラムを作成いたしました。
1)画像・病理相関にこだわらず、胸部画像診断の幅広い演題を募集する。
2)要望演題を募集する。
 前者については、日常の胸部臨床において、画像診断が病態の本質を指し示す場面は少なからず存在すること、また病理診断の裏付けという条件が足かせになり貴重な胸部画像が応募されなくなることを避けたい、という思いがありました。今回のプログラムでは、まさしくこの趣旨に添った貴重な演題をいくつかご応募いただきました。
 後者については、あるテーマについて、複数の症例を通じ、会場の先生方でより深く考察できれば、という思いで設定いたしました。今年は、“感染症がマネジメントに有用であった感染症症例、興味ある画像所見を呈した感染症症例”とさせていただきました。日本は、CT機器の普及が進んでいることもあり、感染症に関して多くのCT撮影がなされています。これらの画像は我々胸部放射線科医にとっては誠に興味深いものが多いのですが、果たしてこれらの画像、読影レポートが、感染症患者のマネジメントにどのように活かされているのかを、我々はもう一度客観的に考える必要があるのではないか?という当番世話人の思いが背景にあります。もちろん、マネジメントに役立った症例ばかりではないと思いましたので、興味ある画像所見を呈した症例もテーマとさせていただきました。いくつかの、感染症の症例を一般演題としてご応募いただきましたが、プログラムの関係上、これらは要望演題に組み込むことは敢えていたしておりませんのでどうかご了解ください。
 座長には、安定感のある中堅の先生方に加え、多くの新進気鋭の先生方にもお願いいたしました。病理のコメンテーターには、北野病院の弓場吉哲先生と天理よろづ相談所の本庄原先生をお招きいたしましたので、それぞれの症例について、より深い病理学的考察を加えていただけるものと思います。要望演題のセッションでは、埼玉医科大学国際医療センター酒井文和先生に座長をお願いし、呼吸器内科の立場からのご考察を期待して、神戸市立医療センターの富井啓介先生に臨床コメンテーターをお願いしました。
 45題の症例報告がぎっしりと詰まった濃密な一日になりますが、どうか、多くの先生方にご参加いただき、日本の“胸部放射線の今”をご堪能いただければと願います。
当番世話人:   橋 雅士   (滋賀医科大学医学部附属病院放射線部)
 
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